日記


2002/5/31

特になし.
上限定理に少し思いを馳せただけ.


2002/5/30

あっという間に5月も終わりそうになってますが.

もうそろそろ一つのことをしっかり考えた方がよいかと思われるけども,まだいろいろなことを考えながらふらふらしている.
5月は総じて低調だった気がする.
ただ,Spring Schoolはとても勉強になったので,それはプラスポイントだと思う.

今日もスライド作りが中心.
証明が丁寧になりすぎてるかもしれない.


2002/5/29

ICMのサテライトだけども,WEBにはプログラムが出ている.
でも,メールは来てない.
どういうことなのだろうか.

もうそろそろはじめないといけないかと思って,スライド作り.
まずはアルゴ研のから.
日本語で作るのは骨が折れるので,すみませんが英語で作っています.
ただ,英語で作ったスライドを使って日本語で発表するっていうのが自分にどれくらい違和感があるのか分からないので,実際の発表は変な感じになっちゃうのかもしれないです.

arXiv.orgに「A polynomial time SAT algorithm」というのが出てて,読もうと思ったけども,何か読む気がなくなってしまいました.
というのはすごく読みにくいからです.
主張もよくわからないし.
そもそも,「3SATが多項式時間で解ければSATも多項式時間で解けることが知られているから,以後3SATを考えていく」っていうなら,タイトルは「A polynomial tie 3SAT algorithm」であるべきでしょう,といいたくなる.
なんか用語法も少し変だし,英語自体も変な感じがする.
ということで,P=NPはまだ解けていない,というのが僕の見解です.
(読まないでおいてそういうことを言ってしまうのはよくないことはわかっているのですが...。)

やはり結局,最小費用流問題というか,組合せ最適化が全然わかっていないことがわかった.
例えば,一つの問題に対していろいろアルゴリズムがあるわけだけども,それらの妥当性の関係がよくわかっていない.
僕の場合はだいたい多面体を見てるので,一番分かりやすいアルゴリズムは単体法になる.
単体法は基本的に多面体の辺を辿っていくだけだから.
最小費用流の場合はネットワーク単体法になる.
一方,負閉路消去っていうのは多面体にどうなってるのか,というのがよくわからない.
単体法でないのだから多面体の内部を通って最適解まで辿り着いていると思うのだけども,内点法みたいな数値計算ではなくて,もっと離散的な方法で内側を進んでいっていることになる.
というところで思い出したのが,石関さんのやっている最小費用流とグレブナ基底の話しで,テストセットみたいなのが負閉路消去に対応してて,残余ネットワーク自体はどんどん更新されていくから,そのテストセットみたいなものっていうのもどんどん更新されていく,というのが実は多面体的な(というか,格子点的な?)理解になるのかもしれない.
...って,こんな,研究のアイディアみたいなものをそのまま書いてしまっていいのだろうか.


2002/5/27

久々に問題に取り組んだけども,やはりうまく行かなかった.
しかし,だいたいどこら辺を攻めていけばよいかがわかったので,それは収穫.


2002/5/26

5/20から5/23までベルリンでCGCの春の学校があったのでいってきました.
今回のテーマは「近似アルゴリズム」ということで,行く前からかなり楽しみにしてました.

ということで,遡って20日の出来事から順に書いてきます.

20日

飛行機が朝の飛行機だったので,割と早起きして出発.
飛行機から眺めるアルプスの山並みは最高に綺麗でしたね.
山の名前などは全然わかりませんでしたけど.
(マッターホルンぐらいは判別したかったのですけど....)
ということで,1時間強のフライトを経てベルリンに着きましたね.
でも,集合時間は15:00,現在11:00っていう具合だったのでどうしようか迷いましたが,一旦集合場所に行ってみました.
しかし,驚愕の事実.祝日だった.
つまり,大学の建物が開いてないんですね.
どうしようかちょっと途方に暮れたのですが,何人か扉を開けて入っていく人を見てると,扉の隣にあるボタンを押すと鍵が開くらしい,っていうことがわかったので,早速押してみる.
そうすると,開いてしまった....
こんなに簡単な鍵でよいのだろうか,と思いながら入っていくと,案の上呼びとめられて,何か言われてしまった.
英語で話してもらえないか,と頼んだのだけれども,それは出来ない,といわれて,どうしたらよいものか,と苦悶してしまった.
結局僕は英語,相手はドイツ語でしゃべって,しかも,お互い理解しているという変な状況の中,相手は「今日は祝日だから誰も来ないよ.明日来なさい」といわれてしまって,結局出ていくことになってしまった.
(まあ,来るのが早すぎたのだから当たり前だが.)
ということで,大学のまわりをぶらぶらして,13:00頃もう一度扉の前にきた.
この時間ぐらいになれば,誰か知ってる人が来るかもしれない,と思ったからだ.
で,30分ぐらい座ってると,Thomasがやってきたので,ふぅ一安心.
Thomasも早く着いてぶらぶらしていたらしい.
14:00ぐらいになったら,たぶん誰か着てるから,中に入ってみよう,ということで,14:00にまたさっきと同じボタンを押して突入.
今度はThomasがドイツ語で状況を説明して,うまく集合場所まで辿り着くことができた.
集合場所でコーヒーとか水とか飲んで談笑するうちに出発の時間となったので,建物の外に.
バスで,近くのChorinという村まで移動するのだ.
Chorin村にあるホテルが今回の春の学校の舞台になる.

バスの中ではほとんど眠っていたのだけれども,ついてからすぐ夕食そして自己紹介,という感じでその日はそれで予定されたものはおしまい.
これでだいたい20:00は過ぎていたのだけれども,まだ外が明るいので,辺りを皆で散歩したりした.
ヨーロッパに来てから思うのは,こちらの人は会議とかワークショップのときの空いた時間に歩き回るのが好きだ,ということだ.
このChorin村も森と湖が到るところにあり,歩き回るには事欠かない.
ということで,1時間ぐらい歩き回って,その後少しビールを飲んでから寝た.

21日

この日は動的フロー(flow over time)の話で,午前中はMartin Skutellaが午後はLisa Fleischerが講義をした.
Martinの話は,動的フローの基本的な考え方と(2+ε)近似アルゴリズムの紹介,Lisaの講義はFPASの紹介と,Earliest Arrival Flowの話といった内容だった.
動的フローっていうのは,静的なフロー,つまり定常状態にあるような場合のことではなくて,始めと終わりもしっかり考える問題で,はじめ何も流れていないネットワークにフローを流して,決められた時間の後には,何も残してはいけない,という,割ときつい問題.
決められた時間までにどれだけ流せるか,というのは静的な場合の最大流に対応していて,決められた時間までにこれだけ流したいのだけども,そのときのコストを最小にしたい,っていう問題は静的な場合の最小費用流に対応することになる.
もちろん,多品種バージョンとか,一般化流バージョンっていうのも考えることができる.

で,講義の方はと言うと,Lisaの話は難しかった.(ほとんど理解していないと思われる.)
ということで,演習もなかなかてこずった(というか,ほとんど解けていない).
演習は4人ぐらいのグループで議論しながら問題を解く,というものなのだけども,全然貢献できなかったような気がする.
ということで,この日はちょっと低調だった.
ただ,動的フロー問題は面白い,と感じることは出来たし,time expanded networkやtemporally repeated flowといった基本的な概念はよく分かった.
多入力多出力の場合のHoppe-Tardosの論文も見て,もっと勉強した方がよいかな.

22日

この日の講義は午前中がThomas Erlebachで,午後はRolf Moehringによって行なわれる.
午前はGeometric Intersection Graphの話で,これは冬に少し勉強したものだけども,こうやって改めて話を聞くと理解が深まってよい.
やはり幾何は面白いなぁ,という印象を受ける瞬間である.
ということで,演習の方も割と順調,なのだけども,以前解いた事があるはずの問題が解けないというのはどういうことなのだろうか.

で,午後の方はスケジューリングの話だったのだけれどもほとんど沈没していた.
内容は面白いのだけども,早すぎてちょっと着いて行けなかった.
新しい概念がどんどんどんどん出てきて,それらの関係が掴めないまま先に進んでいってしまった.
もう少し質問したりしてとめればよかったかもしれない.

23日

この日は午前中の講義のみで午後は遠足という予定になっていた.
もっとも,遠足の後に演習の答え合わせがあるのだけれども.
(演習の答え合わせは,21日22日は夜,夕飯が済んだ後に行なわれていたのだけども,この日は夕方に行なわれることになっていた.)
ということで,午前中はUri ZwickがSDP(半正定値計画法)を使った近似アルゴリズムの話を講義した.
前半はMax Cutの話で,これは何度も出てきてるので,理解するのは容易だった.
後半はColoringの話で,こちらは始めて聞く話題だったのだけども,楽しめた.
これはVector Coloringという概念を持ち出して,それを使って最適な彩色ではないけども,ある程度の精度保証がついた彩色を行なうというもので,なかなか面白いなと思った.
また,演習にあった,Max Cut問題を3-uniform hypergraph の最大カットの問題に変換して,それとMax 2-SATの関係を見て,そこからMax Dicutを考えていくという辺りのくだりは,僕自身がそういう理解の仕方を全くしていなかったので,目から鱗というか,なるほどなぁ,と妙に感心してしまった.

で,午後は遠足.
古い教会の遺跡があって,見に行きたい人が多かったらガイドをつけるけども,っていう話になったので,ひょこひょこついていくことにした.
で,行ってみたらガイドはドイツ語.
(まぁ,当たり前なのだけども.)
ということで,ガイドの人が喋った後で,ドイツ語が分かる人は分からない人に通訳をする,というなんか不思議な状況になっていた.
この教会の遺跡自体は,今では音楽会などが行なわれるスペースになっているようだ.

ということで,夕食後バスはベルリンへ.
ベルリンに着いたらすごい雨でしたけど,ベルリンでもう1泊して,次の日にチューリッヒに帰ってきました.


2002/5/17

非常に低調.
今月全体が低調だと思う.
ということで,来週はベルリンに行ってしまってるので,メールとかおそらく見れないでしょうし,こちらの更新もないでしょう.


2002/5/15

ネットワークフローはいまいちよくわからないというか,どうなのか,というところになってきた.
つまり,僕が求めているのはこういうものではないのだ,ということで,つまり,スケーリングとかラウンディングっていうのはあまり好ましくない,ということである.
今日,Fujishige-Iwataによる"A descent method for submodular function minimization"を読んだのだけれども,ここのアルゴリズムは,使っているオラクルは別にして,スケーリングもラウンディングも使わない,まさに僕が理想としているようなアルゴリズムなのである.
こういうアルゴリズムを考えたいのだけれども,僕の考えている集合関数では全くうまく行きそうも無い.
そもそも双対定理とかそういうものが出て来たり,多面体組合せ論としては何が起きてるのかっていうことはさっぱり分からない.
さっぱり分からないからこそ研究する価値があるのだということなのだけれども,これだけさっぱり分からないと,どれだけやってもさっぱり分からないのでは,とちょっと不安になってきたりもする.

というか,少し劣モジュラを知っているからといって,そちらの考え方に流されているのかもしれない.
もっとも僕の周りの人は劣モジュラについてあまり知らないと思われるので,そこら辺の知識の共有ができればよいのだけども,まだそこまで自分がまとめきれていないのが現状.
集合関数のクラスがしっかりと与えられてしまっているのだから,pseudo-boolean functionsのところで言われてる枠組とか,協力ゲーム理論のところの概念だとか,使えるものはたくさんあるのに,何もかもがうまく行きそうに思えない,というのはいったいどういうことなのだろうか.
自分の研究がまだ深まっていないのだと信じて掘り進めていくしか仕方がない.
宝箱が埋まっていることは誰にも分からないのだから,信じるしかない.

ICMのサテライト会議に受理されたという「二度目の」メールが来た.
しかし,こういう受理通知が二度ともサーキュラーレターとして送られてくるのはいかがかと思う.
前回のは「Dear Participants」ではじまっていて,今回のは「Dear Mr. Yoshio Okamoto」ではじまっていた.
ICMのまわりで起こっている僕にとって不思議なことはこれに留まらないので,ICMに関わる全ての事柄がとても不安になっている.

ということで,今日の総括は「不安」ということのようです.

気分転換に,表紙に写真を貼りました.
去年のNACAのときに毛利さんに取ってもらったものです.
本来は隣にRockafeller先生と平林先生が写っているのですが,カットしました.

JCDCG2002の〆切が8月の半ばである,ということは,これに行こうと思うんだったら相当頑張らないといけない,ということか.


2002/5/14

アルゴリズム研究会のための原稿書き.

「一番の思い出はフリーセルを教えてもらったこと」というのはとても光栄です.


2002/5/13

今日はネットワークフローに関していろいろと思いを馳せてみた.
Wayneが1999年にSTOCで発表した論文は最小費用一般化流問題に対する組合せ的アルゴリズムの話なのだけれども,
実はその双対を考えることで,各制約に現れる変数の数が2の線形計画問題に対する組合せ的アルゴリズムも与えていることになっているようだ.
しかし,組合せ的アルゴリズムといっても,計算量は弱多項式で強多項式ではない.
僕のまわりで線形計画問題をやっている人(実は自分も含まれそうな勢いであるけども)は,主に計算幾何の方の枠組からスタートする流れを受けている.
それは,Megiddoの固定次元での線形時間解法に始まって,その後のClarksonらによる改良,KalaiとMatousek-Sharir-Welzlによる劣指数時間解法,という流れを組んでいる.
Kalaiの解法はHirsch予想に対する上界の改善という話題から出発していて,Matousek-Sharir-Welzlの解法は最小包囲球問題や凸包構成問題といったものを含む枠組の特殊ケースとして出て来るものであり,おそらくネットワークフローの側からの進展はあまり考慮していないと思われる.
もっとも,解決したい問題は「線形計画問題に対する強多項式時間アルゴリズム」なのだけれども,
ネットワークフローのようにスケーリングをして強多項式にする手法と,計算幾何の人が考えるようなピボッティングによるアルゴリズムにはちょっと隔たりがあるようにも感じる.
もっとも,組合せ的でない強多項式時間アルゴリズムもありえる,という段階なので,なかなか予断を許さない.
最近の内点法でもVavasis-YeによるLayered-Step内点法のようにややこしいけど計算量的には強多項式に近づいているような考え方もあるので,強多項式時間アルゴリズムがあるとしても,どこら辺からそれが発見されるのか,あるいは,発見されるべきなのか,というところは全然わからない.
と,線形計画問題という古い問題の中にも,まだまだ分からないことがある,ということはなかなか驚きで,こういうことを線形計画の授業かなんかでちょっと喋ってもらえると,研究の面白さみたいなものが伝えられるかもしれないです.

来週はベルリンでCGC Spring School on Approximation Algorithmsなんだけども,
もうこの秋のCGC Fall School on Algorithms for Hard Problemsの案内が来ている
こちらの方は,普通の近似アルゴリズムだけでなく,オンラインアルゴリズム,アルゴリズムの確率的解析,Parametrized Complexityなど,幅が広くなっている.
特に,Parametrized Complexityは最近少し勉強したことなので,とても興味深い.
こちらも参加することにしよう.


2002/5/10

いろいろ考えたいことがあるのだけども,順番にやっていかないといけないなかな,ということだろうか.

やはり計算幾何の基礎が足りないらしくて,というか計算幾何独自のデータ構造というのになかなか慣れない.
そのようにいろいろと新しいデータ構造を作ってどんどんと高速化できていくことはやっぱり面白いんだけども,なかなかその分野に入っていくのには大変そうだ.
取り敢えずは,いろいろと勉強しなきゃいかん,ということだな.


2002/5/9

実は今日は祝日.

東京滞在はどのようにするのかいろいろ考えているけど,なかなかこれといったいいアイデアが出ない.
ホテルでは高すぎるのだけれども,かといって,ウィークリーマンションみたいなものも案外高い.

というか,航空券すらやばいかもしれない.
早く予約する必要がある.

更に,ICMサテライトのregistratin feeを払わなければならないが, 払い方がよくわからない.
いろいろ調べてわかったのは,この前にやったICM本体の参加費の振込はうまくいっていない可能性が高い,ということだ.
そもそもサイトに情報が不足している.
もっとも僕も銀行に口座を作ればもう少しスムーズに振込できるのかもしれないけれども,それにしてもどういうことなのだろう.
僕自身がドイツ語操れないのがまずいことなのかもしれない.

と,今日は全然研究していないこともわかったので,家に帰ってから論文でも読もうかな.


2002/5/8

今日はやる気が出た.
浮き沈みが激しい.

いきなり証明にかかったけども,やっぱり間違ってた.
でも,相談できる人がいるというのは嬉しい.
割と自分の持っている問題ごとに相談する人を替えたりもしていて,うまく環境を使えてるのではないかと勝手に悦んでる気がする.

以前書いたけども,crosspolytopeがextendably shellableかどうかが未解決なので,計算機でも回してちょっと試してみようと思ったけども,4次元で力尽きた.
そもそも,すべての部分複体を出力した時点で6万とかになっていて,「rm *.dat」とやってもファイルの数が多すぎて削除できませんとか言われてなかなか困ってしまった.
何かこの問題が未解決である,というのが分かる気がして来た.
僕としては,こういう研究ははじめはたくさん例を作って眺めてみるのが大事なのだけれども,組織的に全部見ようとか思うとやはり計算機を使うのがよい.
しかし,最近は計算機で列挙するというのもなかなか大変なんだな,ということが身をもって分かってきた.

今日読んだ論文で,EgeciogluとGonzalezの"A computationally intractable problem on simplicial complexes" (Computational Geometry: Theory and Applications 6 (1996) 85-98) というのはなかなか面白い.
2次元単体的複体の可縮性判定問題がNP完全であることを示すのだけれども,そのときにつくるgadgetが何かかわいい.
かわいい,とか書くと,「あぁ,とうとうこいつも逝ってしまったか」と思われるかもしれないけれども,NP完全性の証明などに出て来る込み入った構成法はたくさん見ている間にだんだんかわいく思えるものである.
はじめの頃は,変な構成法だ,と思っていたりしたのだけれども,最近はその構成法の中に隠れているもとの問題の構造とかそういうものが見えてくるようになって,楽しさが増しているのだと思う.

ちなみに,あぁ逝ってしまったか発言としては,「4次元が見える」とかそういう発言はやばいらしいです.
僕は割と4次元が見えるのでやばいかもしれないです.
ただ,4次元を絵に描くことはなかなか難しいですね.3次元でも難しいのに.
だいたいの場合は投影をするわけですけど,4次元の絵を描く時には2回投影しないといけないくて,うまく投影しないと元の構造が何もわからなくなってしまうので難しいです.
ただ,多面体の場合はうまい投影の仕方が開発されてるので,そこら辺は便利ですね.


2002/5/7

何かやる気は衰えるばかり.

Delaynay分割のプログラムは諦めた.
報われる感じがしなかったから.
本来はもっとよい方法があって,それでやるのが普通なのだから,今回のはパスすることにしよう.

Parametrized Complexityについてちょっとサーベイをした.
自分の今考えている問題に対して使えるかどうかはいまいちよくわからないけれども,知っておいたほうがよさそうな気もする概念.
最近はComputational Complexityの分野が面白そうに見える.

SAOPの案内が来ていたけども,この日程なら7月のSAOPは何とか行けそうだ.
楽しみ.


2002/5/6

ICMの金を早く払え,と少々脅されたので,郵便局へ払いにいったけども,うまく行っているかどうかが不安になっている.
うまく払えていない場合のために,一応払ったことをアピールするファックスを送ったけども,効力はあるのだろうか.

外出したついでに,Spring Schoolのための航空券を買いにいった.
国際学生証もつくってもらったのだけども,窓口の店員さんは東大の学生証を見て「うーん」と唸ったのだけども,なぜか作ってもらえた.
なかなか不思議である.

夕方にセミナー(というか特別レクチャーみたいなもの)があって,
Adi Shamirが暗号のことについてしゃべるのを聞きにいった.
暗号というと,代数幾何とか数論とか難しいイメージがあるのだけれども,徹頭徹尾組合せ論のはなしで終始していて,暗号にこういうアプローチもあるのだな,ということが知れてよかったと思う.
内容はCRYPTO2002にアクセプトされたもの,ということらしいので,いずれ目にすることができるだろう.

三角形分割をするプログラムを書いているのだけども,うまく行かない.
この筋では有名なhalf-edgeデータ構造というを使おうとしているのだけれども,いまいちうまくいかない.
このデータ構造を使わなかったら三角形分割はできるのだけども,これを使わないとDelaynay三角形分割まで話しが進まないので,どうしても使いたいのだけども,どうしてうまくいかないんだろうか.


2002/5/3

CsabaのDefence(博士論文審査)があったので聞きに行った.
発表時間が30分というのは短い気がしたけども,いかがなものなのだろうか.
以前,八森さんのや松井さんのを聞きに行ったときは,時間を全然気にしなかったような気もしたのだけれども,ちょっとここら辺の事情はわからない.

そのcorefereeとしてGuenter Roteが来たので,セミナーで話しをしてもらうことになっていた.
セミナーでの話しはフレームワークのrigidityの話しで,細かい議論を省略して例を使って説明してもらえたので,割とわかりやすかった.
個人的にはもう少し代数的にやってもらえた方が嬉しかった気がする.
フレームワークのrigidityの問題はそれ自身がmotion planningへの応用があるだけでなくて,多面体の理論ではg-定理(縮退していない多面体の面の数の特徴づけを与える定理)を示すための基本的な道具としても使われるので,僕自身も興味があるが,今日の話しはインスパイアされた,というか,これは最小費用流問題なのでは?と思ったりもしたのだけども,質問するのを忘れてしまった.

牧野さんの2002/5/3ですが,大変参考になります.ありがとうございます.
こういう意見を見ると,ピアレビューをどうやって信用していいのか,っていうのがよくわからなくなってしまいます.
もっとも,件の論文はレビューであって,その筋の専門家の大御所が書いたのだと推測されるので(同じ号の単体法のところは最近映画でも有名なJohn Nashが書いている),そのような致命的なところがいくつもあるというのは非常に驚いたわけです.


2002/5/2

スイスでは5月1日は祝日でした (Tag der Arbeit).

Thomasのところに行ってミーティングをして来た.
去年の終わりにプロジェクトでやったものを論文にしたい,と僕が変なことを言い出したためだ.
一応,この夏に日本のどこかで話すつもりなので,それまでにもう一度まとめなおす,といったところだ.

また,ミニ情報みたいなものなのですが,先月の終わりに書いた「トップ10」みたいなものですが,計算複雑性(Computational Complexity)の方で,L. Fortnowが1994年の終わりに「ここ10年の計算複雑性の定理で私のお気に入りトップ10」みたいなのを話していたようです.
上のリンクのTalkのところからそのときのスライドが見れると思います.
選んだのは1984年から1994年ということなので,少し古いのですが,僕はほとんど分からないので,これだけ見ても何のことだか全然わからないのですが,この前と同じように列挙してみたいと思いますが,今回は日本語訳がよく分からないので英文そのまま載せてみます.

  1. Barrington: Bounded-width polynomial-size branching programs recognize exactly those languages in NC1.
  2. Hastad: Parity does not have depth d circuits with less than 2(1/10)n1/d gates.
  3. Razborov: The general clique function does not have polynomial-size monotone circuits.
  4. Immerman and Szelepcsenyi: Nondeterministic space is closed under complement.
  5. Impagliazzo, Levin and Luby: Pseudorandom generators can be constructed from any one-way function.
  6. Ogiwara and Watanabe: If P≠NP then there are no sparse sets hard for NP via polynomial bounded truth-table reductions.
  7. Nisan: For any r(n) and s(n) there exists a pseudorandom generator that converts a random seed of length O(s(n)logr(n)) to r(n) bits that look random to any algorithm using s(n) space.
  8. Toda: Every language in the polynomial-time hierarchy can be reduced in polynomial time to a single query of a #P function.
  9. Beigel, Reingold and Spielman: PP is closed under intersection.
  10. Arora, Lund, Motwani, Sudan and Szegedy: Every language in NP has a prbabilistically checkable proof system where the verifier uses only O(logn) random coins and asks only a constant number of queries to the proof.
最後のはPCP定理で,組合せ最適化の近似アルゴリズムの文脈でもよく出て来るので,これは知っている.
戸田の定理も,数え上げ問題のときにはだいたい出て来るし,定理を作ったのが日本人なので,名前は聞いたことがある.
印象的なのは10個のうちの2つが日本人であること.
やはりこのように,他の人から高く評価されるような研究をしてみたい,と思うのは自然だろうか.


2002年4月の日記


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Last modified:Fri May 31 23:35:12 2002