「数学が出来る」というのは,どういうことだと思いますか?抽象的な質問ですいません.
---「数理リテラシー」ということばがあります.英語ではmathematical literacyです.OECDのPISAという団体が3年に一度大規模な調査を行っていて,その2009年の調査結果が出てるのですが,その団体は数理リテラシーの調査も行っています.そこでは数理リテラシーが以下のように定義されています.「An individual's capacity to identify and understand the role that mathematics plays in the world, to make well-founded judgements and to use and engage with mathematics in ways that meet the needs of that individual's life as a constructive, concerned and reflective citizen」です.このような能力を持っているということで「数学ができる」とするという考えに,私は概ね賛成です.そして,奇異に思われるかもしれませんが,この意味で「数学ができる」ということを考えると,いわゆるプロの数学者の中にも「数学ができる」と言えない人がいるように思えます.数学という学問分野は,極めて自己目的的であり,それが現実世界においてどのような役割を持っているのか,考えることが出来ない人,考える必要がないと思っている人,考えることは数学ではないと思っている人,が数学者の中にいるように思います.(「そのような人がいる」といっているだけで「皆がそうである」とはいってないので,注意して下さい.この違いがわかれば,離散数学の講義を受けてる意味が少しはあったことになります.)